環境マネジメントシステムの登録審査 2002/01/15 横大路 照男
私は、環境マネジメントシステム(ISO14001)の構築支援や登録審査に携わっています。既にISOを受審された方はご存知と思いますが、実地審査では経営者面談を行います。この中で審査側が「ISOを始めて変化したことは何ですか」と質問をすることが多いのですが、この質問に対する答えの中で最近私の記憶に残っていることをご紹介します。
T.大阪の高槻市にある金物の製作・組立を行っている町工場の社長さん、「ISOをやって一番変わったことは、従業員の作業服が汚れなくなったことです。私が現場で働いていた時は、作業服が油まみれになっていることが懸命に働いている証拠だった。確かに当時に比べ機械も近代的なものにリプレースしたので、汚れなくなったことは事実だ。最近、現場を廻るたびに感心するのは、床や機械設備に油が付着していない。そして不良品まで少なくなったということです。ISOは専務(息子)に任せているので、詳細はわからないが、環境に配慮することは、会社の経営向上につながるのではないかと期待している」
U.広島市の産業廃棄物収集運搬及びリサイクル処理を行っている従業員40人ほどの会社の社長さん、「ISOを始めてから、社員がよく挨拶するようになった。先日もあるお客さんから“お宅の従業員はみんな礼儀正しい。会って気持ちが良い”と言われた。私が社長になって10年になるが社員のモラル教育には一番苦労してきた。なかなか成果が上がらなかったのに、このISOを始めて1年程度で、よくもここまでになったと感心している。ISOはトップダウンだそうだが、わが社は、初め社長が方向を示し、後は社員に任せたほうがよさそうだ。勿論時々修正は必要と思うが」
以上2例を紹介した。両社とも環境保全や環境に配慮した事業活動に対して、初めから難しい課題に挑戦するのではなく、まず自分たちで出来ること、そしてそれをやることによって自分たちにプラスになることからスタートしている。両社ともきっと伸びていく会社だと言う気がする。