研究開発者は一読を                         秦 吉昭

「青色発光ダイオード」を開発して世界中が注目する、21世紀の天才と言われている「中村修二」氏の著書。
ご存知の通り、光の三原色は赤、緑、青であり、赤、緑の発光ダイオードは既に製品化されていたが、「青色発光ダイオード」は未開発であった(どうしても出来なかった)。
この発明で、将来の照明をLEDがとって代わるとも言われている(省エネ、メンテフリー)。また、青色LED技術の応用として、レーザー技術、青色半導体レーザーが可能となり、青色半導体レーザーでの読み書きが、赤色に比べ波長が短いため、データーの容量は飛躍的に増大すると期待されている。照明や半導体に関係のある企業は、応用研究を是非検討されては如何でしょうか。
徳島県の阿南市、中小企業である日亜化学で、開発者としての苦労話や会社での孤独な研究、あるいは営業マンとしてユーザーとの接触(ニーズの発掘)、特許や知的所有権がいかに重要であるか等々、開発者にとって大変有意義な示唆に富む話が一杯だ。又このような開発は、「ベンチャーだからこそ成功したのだ」とも述べられている。目下カルフォニア大学サンタバーバラ校教授として活躍中であるが、日本における開発やアイデンティティにおいてその相違点についても、大変参考になる。「この国はどこかおかしい」と心情を吐露されている。
「ノーベル賞に最も近い男、仕事が出来る男」と世界から認められているほどである。
是非ご一読をお勧めします。

    書名 「怒りのブレイクスルー」

    発行 オーム社  発売 集英社

    定価 ¥1600.

003.青色発光ダイオードの開発